先日、伊勢神宮を参拝し、外宮の「せんぐう館」で、
神明造りの構造の再現を観て、外宮・内宮の建物の違いに
興味を持ちました。
神明造り特徴:
1、高床(掘立式:棟持柱などすべて根元を地中に埋めたもの)
2、切妻、萱葺き屋根に千木(ちぎ)と鰹木(かつおぎ)
3、平入
4、20年ごとに建て替えられる
今回は、①鰹木(かつおぎ)の数
②千木(ちぎ)の形について。
千木・鰹木ともに本来は建物の補強が目的だったと考えられます。
古墳時代の出土した、埴輪の棟木の上にも鰹木が並べられています。
今城塚古墳(大阪府高槻市)
鰹 木:
「鰹木」の名称は、形が鰹節に似ていることが由来。
奇数は陽数(男神)・偶数は女神(陰数)
千 木:
古代、屋根を建造する際に、木材2本を交叉させて結びつけ、
先端を切り揃えずにそのままにした名残り。
男神の社は千木を外削ぎ(先端を地面に対して垂直に削る)
女神の社は内削ぎ(水平に削る)
伊勢神宮の場合は:
内宮:祭神天照坐皇大御神・・・主祭神が女神
外宮:祭神豊受大御神・・・主祭神が女神ですが
(本来男神的性格を帯びていたためとする説)
鰹 木:内宮:10本・外宮:9本
千 木:内宮:内削ぎ・外宮:外削ぎ
柱
神明造は基本的に左右対称で、
左右方向には偶数本の柱が配され。
柱と地面の間には礎石も土台も与えられず、掘立柱。
側面中央の、壁面より外側に飛び出し棟へ達する柱の
棟持柱(むなもちばしら)は、通常太く、
強度のある用材が用いられるが、
構造上では強度にはあまり寄与しないそうです。
社殿の中央には心の御柱(しんのみはしら)が
配されていますが、これも強度には寄与しないとか。
壁
神明造の壁は、十分な強度を持つ板材が用いられます。
皇大神宮正殿の場合は樹齢400年以上のヒノキが必要
になるとお話を伺いました。
床
神明造では通風性を重視した床が高い構造で、
高床式倉庫の名残で、長い階段が設けられています。
※千木は日本建築だけでなく、
・中国雲南省のワ族
・タイ王国のラワ族・ラフ族・アカ族・カレン族
・・・高床式住居に千木が見られるます。
・紀元前の滇国(テン)の青銅製の神殿にも。
※紀元前3世紀頃から、雲南省東部の滇池周辺あった西南夷の国。
※千木の起源は、太古まで遡る歴史ドラマですね。